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膵のう胞、膵癌とは?膵癌超早期発見をめざして


令和4年度院内講演会での村田美重子医師による講演内容をご紹介します。

膵臓について

膵臓は胃の裏側に位置し、肝臓、胆嚢、大腸、大血管などに囲まれた臓器です。

膵臓の位置

膵臓

膵臓は長さ約20cm、厚さ2cmの長細い臓器で、体の右側から膵頭部、膵体部、膵尾部の3パートに分けて呼ばれます。

膵臓

膵臓には、消化酵素を含む膵液を作り十二指腸に出す機能と、インスリンなどのホルモンを作り血糖値を調節する機能があります。
膵臓で作られた膵液は、枝分かれした「分枝膵管」から「主膵管」に集められ、膵尾部から膵頭部の方向に流れ、十二指腸内に流れます。膵液の中には、糖質を分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、蛋白質を分解するエラスターゼやトリプシンなどの消化酵素が含まれ、十二指腸に来た食べ物の消化をします。
主膵管の太さは1~3mmです。

膵嚢胞とは

膵嚢胞とは、膵臓に水分の入った袋ができる疾患です。

膵嚢胞性疾患

膵嚢胞には直ちに治療の必要なものと、放置して良いものがあり、その鑑別が大切です。
膵臓に液体を作る腫瘍ができて、液体の溜まりによって膵管が腫れ袋状になるものを腫瘍性嚢胞といいます。この一部には悪性化するものや、普通の膵癌が合併することがあり、注意が必要です。
腫瘍性膵嚢胞の中で一番頻度が高いのが、膵管内乳頭粘液性腫瘍 通称IPMNです。ここではこの疾患についてご説明します。

膵管内乳頭粘液性腫瘍 IPMNについて

膵管内にできた腫瘍が粘液を出して近くの膵管内を満たし、膵管の一部が太くなったり、袋状に腫れる病気です。
腫瘍ができる膵管の場所によって、分枝膵管型IPMNと、主膵管型IPMNに分類されます。
分枝膵管型の方が多く、偶然発見される膵嚢胞の中でも最も多く、画像ではブドウの房のように見えることがあります。

IPMN

分枝膵管型IPMNの好発年齢は60~70歳代、やや男性に多く(55%)、70%が膵頭部に発生します。

分枝膵管型IPMN

分枝膵管型IPMN 手術のサイン

・分枝型IPMN悪性化は年2%の割合。ほとんどが経過観察で変化しない。
・治療方針は国際基準で決められており、正しい段階で腫瘍を切除すれば完治しうる。
・いわゆる通常型の“膵癌”とはちがう病気。

いわゆる“膵癌”について

2018年度の国の調査では、膵癌は日本人がかかる癌ランキングで男女とも6位です。
一方日本人が死亡する癌ランキングでは、膵癌は男性4位、女性3位に上昇します。
膵癌と診断される日本人は年間約4万人ですが、膵癌で死亡するのは約3万6千人で、恐るべきことに、膵癌で亡くなる人と診断される人がほぼ同数なのです。

多い癌ランキング

膵癌の症状

膵癌に特徴的な症状はありません。なんとなくおなかが痛い、胃や背中のあたりが重苦しい、糖尿病が急に悪化した、体重減少、白目や皮膚が黄色くなったなどがありますが、早期癌の段階では3/4の患者さんは無症状、進行癌でも半数は無症状です。

膵癌の危険性の高い人

①膵癌の家族歴(親・兄弟・子の第1近親者)    4~32倍
②慢性膵炎                      13倍
③膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)         15~26倍

④膵嚢胞                      3倍
⑤糖尿病、高度肥満、喫煙、大量飲酒、歯周病など 2倍

IPMNと膵癌の関連

・分枝型IPMNの10%に膵癌が発生するという報告があり、膵癌の発生母地と考えられています。
 特に70歳以上、女性で膵癌合併が増加します。
・油断せずに、嚢胞の陰に膵癌が出てこないか、定期的な画像検査が必要です。

膵癌の診断の進め方

膵癌診断の進め方


膵癌を疑ったとき、まず血液検査で膵酵素や腫瘍マーカー、腹部超音波検査を行います。
必要があれば、大きい病院でさらにCTやMRI、超音波内視鏡検査などを行います。
膵癌と診断されれば、進行具合を病期(ステージ)で表現し、病期ごとに治療方法が決まります。

膵癌の病期 ステージ分類

膵癌の病期は、癌の大きさや周囲の血管や臓器への関わりの具合で分類され、ステージ0期からⅣ期に進みます。

膵癌

膵癌を完治させるためには、基本的に外科手術で取り切ることが必要です。
手術できるのは、癌が2cm以内の0期からⅠ期、Ⅱ期の一部までです。

膵癌の血液検査

血液検査の膵酵素は膵癌の半数でしか上昇しません。
腫瘍マーカー(CEA、CA19-9 、Span1、 Dupan2など)も進行癌では上昇するが、0~Ⅰ期の膵癌ではほとんど上昇しませんので、血液検査だけでは早期発見のためには当てになりません。

これといった症状がなく、膵臓が胃の裏側の見つけにくい場所にあり、重要臓器に囲まれ手術が難しいこと、厚さ2cmの臓器なのですぐに隣の臓器に広がる、などが原因で、現在の医療では、残念ながら手術治療が出来る段階で発見される患者さんはたったの5%、ほとんどの方が発見時すでに膵癌が転移した末期癌の状態なのです。

膵癌が治せない理由

・膵癌は6割が無症状で、血液検査で異常値が出にくい。
・手術可能な2㎝以下(0期,Ⅰ期)で見つかるのは 5%
 95%が2㎝以上の進行癌で見つかる。
・重要臓器や大血管と隣接し、手術が難しい。
・手術できても再発、転移が多い。
膵癌以外の癌は早期発見され、完治できるようになっているにも関わらず、膵癌は未だ取り残された癌なのです。一人でも膵癌で悲しい思い、悔しい思いをする方を減らさなくてはならない、私たちはなんとか膵癌を早期発見し治療し完治できるようにできないか、日々考えています。

膵癌5年生存率

これは発見された膵癌のサイズ別に、治療した期間と生存している患者さんの割合を示した図です。
横軸は膵癌治療開始からの期間を月数で示し、縦軸は生存率を表します。
縦の赤線の部分が5年経過したところです。5年目、膵癌が1cm未満で見つかった方々は80%、2cm未満で見つかった方々は半数が生存されていることがわかります。
一方膵癌が2cmを超えた途端、5年目の生存率がたったの8%に低下してしまいます。
膵癌を2cm以下で発見することが、いかに大切かがわかります。

膵癌を治る病気にするには

・画像で2㎝以上の腫瘍が見えてからでは遅い!!
・2㎝未満で見つければ、治る可能性がある。
・今までの診断方法を考え直すべき。

・腫瘍だけを探すのではなく、他の手がかりを!

膵癌早期発見

膵癌ができて膵管の流れを妨げると、主膵管の太さが変化したり、嚢胞を作ることがあります。主膵管の一部が太い、嚢胞が出てきたときは、膵癌の始まりのサインかもしれません。

膵癌早期発見

膵癌の始まり0期の上皮内癌の段階は、細胞レベルの変化のため癌自体は画像検査では見えません。癌が増殖して膵管の流れが妨げられると、膵管が一部太くなったり嚢胞が出現し、やがて腫瘍の塊が画像でも見える浸潤癌になります。この期間が2~3年あるのではないかと予測され、膵癌の早期発見に重要な時期と考えられます。

膵癌早期発見のための画像検査

腹部エコー検査、超音波内視鏡検査

腹部造影CT、造影MRI、MRCP

このような画像診断を駆使し、膵癌の兆候を見逃さないようにします。

当院での取り組み

・症状がなくても、少なくとも1年に1回、必ず腹部エコー検査でチェックする。

膵癌リスクの高い人は半年に1回、腹部エコー検査、血液検査などで膵臓を徹底的に精査し、腫瘍の有無だけでなく膵管や嚢胞の変化などの癌化の兆候を見逃さない!

・膵癌の兆候を疑った時は、躊躇せず造影CT、MRI、超音波内視鏡検査などで調べ、1㎝未満の膵癌超早期発見につなげる。